BADの皮膚科医のための円形脱毛症ガイドラインにあった
「かぶれ治療の長期的な副作用はない」という記述が気になっていました。
子供の円形脱毛でかぶれ治療をしている人が、尋常性白斑になっているとのこと。
そして、その中のある人は白斑の治療を開始したとのこと。その治療も白斑部分以外の
肌が傷つくとの記述を度々見ているからです。
一時的なものなら、治療しなくても自然にわからなくなるはずですから。
更なる治療で、体にダメジを負って欲しくないからです。
そこで、その記述のある記事を探しました。
sadbeと副作用で検索して出てきた
JARNAL OF INVESTIGATIVE DERMATOLOGY SYMPOSIUM PROCEEDINGS
の記事です。少し古い情報に思いますが、見てみましょう。
ここで参照されている論文が主に「かぶれ治療の長期に渡る副作用はない」と
述べている様々な意見の根拠になっているように思えます。
円形脱毛症:今日の治療と明日の治療
(沢山の種類の治療法や副作用などが述べられています。
その中の一つの副作用について取り上げています。)
免疫システムに影響を及ぼす治療法DPCP、SADBE
円形脱毛症(AA)の治療にDPCPやSADBEが20年以上使われてきた事。
かぶれ治療については、ヨーロッパとカナダで長期に渡って使われてきた事。
その治療の仕方など。
副作用
穏やかな湿疹様の反応や耳介後ろのリンパ節の腫脹は、望ましい反応であり
治療法本来のものである。これらは、治療効果を得る為に望ましいものであると
患者に告げられるならば、普通十分に耐えうるものである。
望ましくない副作用は2-5%の患者に起こる。
小水疱様のあるいは、水疱様の副作用は、個々の適正な濃度が決まる前の
治療初期に時々起きる。アレルギー性接触皮膚炎が広がり、様々な形の
蕁麻疹様のあるいは多形の紅斑様の副作用も起こるが、これらは、
局所コルチコステロイドでうまく処置できる。
炎症後の色素沈着や点状の色素脱(dyschromia in confetti)
といった色素障害が、観察されるが、特に皮膚の色の濃い患者にである。
しかしこれらは治療を続けなくなって1年以内にほとんどの例では、解決する。
これら急性のあるいは亜急性の副作用の外は、世界中の1万人の子供を含む患者の
18年のDPC治療(21年のSADBE治療)で長期に渡る副作用は、
報告されていない。
ここで、知りたかった参照論文(黄色で示した内容のもの)がPubMedに出ていました。
1992 Apr.
'Dyschromia in confetti' as a side effect of topical immunotherapy
with diphenylcyclopropenone.
DPCPを用いた局所免疫療法の副作用としての「dyschromia in confetti」
( 紙ふぶき様の色素障害)
オランダのNijmegen大学の
van der Steen P, Happle R.
によるものです。
(概要ですからわかる部分に限りがあります。
専門知識のない普通の母親の訳です。できれば、ご自分で直接お読みください。)
Dyschromia in confettiは、局所免疫治療中に起きたことは、今までは
報告されていない色素障害です。円形脱毛症のDPCP治療を行った243人の
患者グループのうち4人が似かよったパターンの色素沈着や色素脱を示した。
・1人の患者の色素障害はDPCPを施した頭皮に場所は限られていた。
・しかしある患者は、頭皮の色素障害の他に前腕の色素沈着を。
・残りの2人の患者は dyschromia in confetti(紙ふぶき状の色素脱) が、
頭皮よりも他の場所に広範囲にはっきりとでた。このタイプの色素障害は、
治療開始後4−14ヶ月に現れた。そして追跡調査(フォローアップ)期間の
3−10ヶ月も、変化なく残っていた。1人の 患者は、治療が継続されなくなると
色素変化が、消えた。が、治療を再開したら より小さい範囲にではあるが再発した。
私たちは、以下のように結論付けます。
DPCPを使った局所免疫療法の副作用は、
dyschromia in confetti(紙ふぶき状の色素異常) は
起こる可能性があるとみなすべきであるが、恐らくまれであり、
どちらかと言うと色の濃い肌の色の人に特に出る。
PMID: 1580660 [PubMed - indexed for MEDLINE]
この資料は、1992年のものです。少し古いです。しかし、局所免疫療法の副作用が
長期に渡るものでないことを示す参照文献として多く用いられているように思います。
読んだところ、残念ながら、先に掲載したドイツの論文の治療中止後1年経てば、
すべての色素脱が、消えてしまうかの様な記述には疑問が残りました。
245例中の1例にだけです。
2人のDyschromia in confetti(紙ふぶき状の色素脱)の内の1例です。
2人の中の他の1例は、何も書いていないところを見ると、色素脱は、消えなかった
のでしょう。それでも、治療を止めて1年後に、色素障害になった4人の25%
1人の色素異常が無くなるとしたら、貴重な情報です。
又この1例は、この症状がDPCPによって引き起こされるものであることを
明らかにしているように思えます。治療を止めたら消え、再開したならまた
症状が起きたのです。
これは、オランダの研究です。肌の色の白い人が多いと思いますので、
気づきにくい程度の症状の人もいたりするかもしれません。皮膚の色の濃い
日本人では、もっと多くの人に症状が見られる可能性は大きいでしょう。
243人中の4人なんてことは無いと思えます。濃度も個々で違いますから
濃い物を使っている人と薄いもので効く人とでは、副作用も違ってくるでしょう。
10倍100倍1000倍と大きく違うのですから。濃度の決め方も慎重にしなければ
いけないでしょう。
日本では、「安全で90%効果がある」と言われている局所免疫療法(かぶれ治療)。
かぶれ治療は、皮膚の色の濃い人種である日本人には、色素脱が起きる
可能性が大きいので注意が必要です。他にも耐えうるものとして扱われていますが
蕁麻疹やリンパ節の腫脹。重度のものになる人もいます。
海外の白い肌の人が主な研究の結果とは、異なるはずです。特に体が
小さくて代謝の盛んな幼い子には影響が強い可能性もあります。
しかし、色素脱になった方の25%の色素脱が、消える可能性があります。
色素脱になった場合、慌てて治療することなく様子を見ることも
選択肢の一つだと思います。(これは、濃度が薄く、使用期間が短い場合です。)
(次の記事に詳しく書いています。)
副作用をよく理解して、治療をするかを決定する必要があります。
カナダのDPCP治療やBAD英国の皮膚科医のための円形脱毛症治療ガイドライン
にも、その副作用や妊娠を避けるなどの注意を理解して納得したことを署名する事が、
述べられています。アメリカでは、全土で使われていないとNAAFも伝えています。
安全で90%の効果があるのでしょうか?
次回は、白斑が現れ、消えたイタリアの少女の例を見てみます。


